美味しいお茶の淹れ方

美味しいお茶の淹れ方

〈番茶・深蒸し茶の場合〉2人用

急須に6グラムの茶葉と80℃のお湯を250ml程度入れて30秒程度で湯呑に注ぎます。

熱いお湯でサッと入れて飲めるのが深蒸し茶の特徴です。

 

〈普通の煎茶〉2人用

急須に6グラムの茶葉と80℃のお湯を250ml程度入れて60秒程度で湯呑に注ぎます。

深蒸し茶よりは時間がかかりますがおいしくでます。金水や、老松、大祝など

 

〈玉露〉3人用

急須に10グラムの茶葉と50~60℃と低めのお湯を60ml程度入れて、2分~2分30分程度で湯呑に注ぎます。玉露は、湯つけ時間が長すぎても短すぎても本来のうまみが出にくいので、美味しく淹れるのが難しいお茶になっております。その分、濃厚なうまみや甘みそして軽い苦みと渋みのバランスを楽しめるでしょう。

 

〈上級煎茶〉3人用

急須に6グラムの茶葉と70℃程度のお湯を170mlほど入れて、1分~1分半程度で湯呑に注ぎます。宇治など

 

〈ほうじ茶〉5人用

急須に15グラムの茶葉と熱湯650mlほどを入れて、30秒ほどでサッと湯呑に注ぎます。

 

お茶によって美味しく淹れられる温度が違います。お茶を淹れる時に使う急須や湯呑、茶碗などの器を使って簡単に湯を冷ましする方法を紹介します。材質によって多少の違いがありますが、これらの器に湯を入れることで温度は約10℃下がります。最初に、急須に入れて10℃、茶碗や湯呑に移すことで10℃、とこれだけで湯の温度を20℃下げることができます。

 

丁寧にお茶を淹れたいなと思ったらぜひ試してみてくださいね。

 

 

今回は更に、なぜお茶の種類によって美味しく淹れるための淹れ方が変わるのか説明していきたいと思います。もし気になる方が居ましたらぜひこの先もお読みください。皆さんの良きお茶ライフを心よりお祈り申し上げております。

お茶の味成分は細かく見ると沢山あるようですが、ここでは大きく分けて二つの成分を紹介します。

うまみ味と甘味をもたらすアミノ酸と苦みと渋みをもたらすカテキン類です。この二つの成分は抽出される温度や時間が違います。

アミノ酸はうま味と甘みをもたらす成分ですが低い温度でも比較的よく溶けだし、溶出するまでに時間がかかりません。一方で、カテキン類は低い温度では溶出しにくく、溶出するまでにやや時間がかかります。

つまり、低い温度のお湯を使って淹れるとうま味・甘味が濃く、苦味・渋味が薄いお茶になります。逆に、高温で淹れると苦味・渋味が増すということになります。

ですが、こんなに簡単な話だったらどんなお茶でも同じ方法で簡単においしく淹れられるでしょう。お茶の味成分がそれぞれのお茶によって違うため、湯の温度と浸出時間を変えておいしく淹れられるように工夫が必要なのです。

 

例えば、特においしく淹れるのが難しい玉露はぬるいお湯で長めの抽出時間を取りますが、これは玉露にうま味成分のアミノ酸類が多く含まれているため、低い温度でも溶け出すアミノ酸類を十分にだすためです。それに加え低い温度では溶けだしにくく溶け出すまでに時間がかかるカテキン類などに苦みを抑えるようにしています。一方で、普通の煎茶や番茶やほうじ茶は上級なお茶に比べるとアミノ酸類などに由来するうま味・甘み成分が少なく、苦み・渋み成分には大きな差がない為熱いお湯でサッと淹れても美味しく飲めるのです。

 

・お茶の淹れ方研究会:茶研報(1973)から抜粋

・NPO日本茶インストラクター協会(2008)『日本茶のすべてがわかる本』社団法人 農山漁村文化協会